育てて、食べたいオリーブ。実がならないのはなんで?

オリーブ実付き



『旧約聖書』によると、ノアの箱舟から放った鳩がくちばしにオリーブの若葉をくわえて戻ってきたので、洪水がひいたことを知ったと言われています。その物語がもとにオリーブの葉は平和と安全のシンボルになりました。

オリーブの樹は実がなることを期待して、庭に植えている方が多いと思います。しかし、大木になるけど実がならない。

ポイントは、たった一つ。違う品種の花粉を受粉することなんです。

オリーブの育て方

シンボルツリーにしようと思ったり、お祝いにプレゼントした時に、知っておきたい育て方。花屋さんも知っているようでしらない事も多いです。実も取りたいですよね。

置き場所

オリーブは日光がないと弱ってしまいます。基本的に野外で育てる植物です。(室内で観葉植物みたいに育てるのは難しいです)寒さにはある程度耐えますが、-12℃以上で育てましょう。50cm以下の幼木はー5℃以上低温にあてることにより、花芽が付きやすくなり結実の条件になります。

オリーブ 花芽1

植え付け・植え替え時期

樹木類は基本的に休眠時期に植え付けをします。オリーブも例外ではないのですが、3月の暖かくなる前に植え替えがいいでしょう。5月頃に花芽ができてきます。芽が動き出す前に根はいじらずにそっと植え替えてあげましょう。

植え付けや植え替え時に、倒れないように支柱を立てて植え付けます。根張りが浅いので、絶対に支柱が必要です。

オリーブは弱アルカリ性で良く育ちます。アルカリ性?酸性?リトマス試験紙?と言われても何だか分からないですよね。

基本的に日本の関東地方は酸性土壌が多いと思います。アジサイが青花なら酸性です。

では、どうすれば良いか。石灰を土に混ぜるんです。

石灰で小学校の運動会で白い線を引いたことのある茨城県民です。農家の方もまいています。

※石灰は水にさわると化学反応で熱を出すので、混ざて水をやってから時間をおいて植え付けましょう。

基本的には乾燥に強い植物ですが、結実している時はこまめに水が必要です

肥料

花芽が動き出す前の2~3月、開花後の6月、実の熟成期の9・10月にリン酸成分が多い肥料をあげると実付きが良くなります。枝葉も成長するため窒素・リン酸・カリが10:10:10の肥料も交互にあげましょう。

花期・受粉

5月上旬・中旬・下旬ぐらいです(品種によって多少ずれます)。上旬の品種と下旬の品種を置いても受粉しません。

結実

オリーブ 実2

オリーブ 実4

違う品種のオリーブが受粉すると、結実しその実が大きくなりやすいです。品種の違いは葉っぱの形や樹形でわかります。

最近、どんどん新しい品種が出回りだして開花時期が多すぎて開花時期が分からなくなっています。確実なのは、5月に開花している違う品種のモノを買って育てることですかね。

  • フラントイヨ・ピクアール・チプレッシーノ・ネバディブロンコ・アルベキナ (5月上旬開花)
  • マンザニロ・ミッション・ルッカ (5月中旬開花)

ちなみに、春から夏にかけて伸長した部分に翌年花芽を付けます。伸び伸びになってしまったからといって剪定してしまうと、花も実も1年お休みになります。

オリーブの樹は隔年結実性があり、1年ごとに実る年と実りずらい年があります。今年はいっぱい実ったなと思った年は、翌年は結実が少なくなるので思い切って剪定して樹形を整えてあげましょう。

オリーブの収穫

時期

10月~11月ぐらいです。緑の時にとっても大丈夫ですが、黒くなってから収穫すると多少灰汁がぬけると言われています。

収穫

収穫したら塩漬けにしてみよう。そのまま塩漬けにしても良いが、灰汁がぬけるのに時間がかかります。苛性ソーダや重曹であく抜きすると早いです。

オリーブ 塩漬け5オリーブを洗って瓶に

オリーブ 塩漬け2オリーブを重曹で重曹で灰汁抜き

オリーブ 塩漬け3灰汁が出てきてます

オリーブ 塩漬け1

灰汁抜き開始から10~2週間ぐらいで灰汁が抜けているかみて、食べられるようになっていたら塩漬けへ。

初日は重曹を洗い流すために水に浸けます。翌日は1%の塩水。毎日塩水を取り替えて、2~3日毎に1%ずつ濃度を上げていきます。

最終的に4%の塩水に漬けて完成です。小瓶に分けて冷蔵庫で保存しましょう。

「平和」の花言葉をもつ オリーブの樹

「平和」の花言葉は、ギリシャ神話からだったとみられます。

創造神のアテナとポセイドンが争った結果、力と勇気の象徴のオリーブの樹を植えたアテナが民から選ばれ、オリーブは平和を願ったこの女神にささげられる樹となりました。オリンピックの競技で最高の賞は、オリーブで作った冠を贈るようになった。また、ギリシャ人は戦争中に平和の使者を出すときはオリーブの枝を持たせたと言われています。

オリーブの樹

平和で幸せな日々を願って、新築や引越のお祝いに「オリーブの樹」を。

寒さに負けず、乾燥に強いオリーブは、玄関先などや庭植えに適しています。皆さんご存知のオリーブの実がなり、毎年の楽しみも増えます。オリーブは2品種ないと実がなりずらいので、開花期が同じ2品種が受粉すると確実に結実します。

実がなるので、繁栄の意味合いも込めて「オリーブの樹」を贈ってみてはいかがでしょうか?

夫婦の樹とも呼ばれるオリーブ。

オリーブの実は、違う品種のオリーブの樹が花を咲かせ受粉し実をつけます。夫婦も違う家同士が結ばれひとつの家族が生まれます。

結婚式でも、オリーブの樹にお互いの家の水を持ち合って、合わせて水をあげるというセレモニーがあります。

オリーブ冠と月桂冠

マラソン大会の優勝者にはオリーブ冠。オリーブは勝利の象徴とされてあたえられます

オリンピックやマラソン大会の優勝者に月桂冠をかぶせているのを見ますが、本来はオリーブで作った冠なんです。オリンピア大祭で勝者に与えられたのがオリーブ冠。古代ギリシアの大祭で8年に1度開催されるピューティア大祭(音楽競技)の勝者に与えられたのが月桂冠。

オリーブ冠1

オリーブ冠2

そもそも、女神アテナが古代ギリシャの英雄ヘラクレスが庭に植えたオリーブの枝をオリンピックの勝者に与えたことが由来。2004年のアテネオリンピックでも、優勝者には金メダルとともにオリーブ冠が与えられたそうです。

一方、月桂樹は文化芸術の神アポロンの聖樹とされていて、ピューティア大祭で勝者に与えられたのが始まりで、その枝で作った月桂冠は詩人や文人の頭上に飾るものになりました。ノーベル賞受賞者がNobel Laureates(ノーベルのローリエを冠された者)と呼ばれるのも、そういう意味からだそうです。

ちなみに、花冠にも花言葉があります

花をつないだ花冠や花飾り(ガーランド)もフランスでは花言葉になっていて、「恋をつないだ鎖」それに用いた花の意味にしたがった友情」という意味になる。



まとめ

寒さに強く(関東以南)、根張りが浅いオリーブの樹は、地植えでも鉢植えでも楽しめます(根張りが浅いので、支柱が必要です)。大きなシンボルツリーにしたい方は地植えに、大きくしたくない方は鉢植えで育ちます。

実も楽しみたいなら、開花時期が同じ異品種を育てましょう。隔年結実性もあるので、それに合わせてせんていしま剪定しましょう。

新築や引越のお祝いに、花言葉が「平和」のオリーブの樹を贈りましょう。オリーブの樹というモノを贈るだけではなく、平和で実りある日々をおくってくださいという気持ちと共に贈ると、贈った方も贈られた方も気分がいいと思います。

花冠にする時には、マラソン大会やオリンピック等のスポーツ大会ではオリーブ冠、ノーベル賞等の文化芸術では月桂冠です。間違わないようにしましょう。

花言葉を一緒に伝えるも良し、花だけを渡すのも良し。

花というモノをプレゼントするのではなく、

 花をプレゼントするキモチが、

 フラワーギフトなんです。

ABOUTこの記事をかいた人

元気ですかー!花かんざしのオーナー、無敵の花屋こと畠山元気です。私が花屋をやっているのは、男でも女でもお花を 贈り合ったり、オシャレに飾ったり、育てたりするような、そんなボタニカルな社会を実現するために頑張っています。 趣味はマラソンとトレイルランニングです。出場予定の大会